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本気になんかならない

第25章 春雷

車内では、お互い…というか、
主に小浜さん身近話で時を過ごし、そろそろ到着。

「宮石君とふたりだけの思い出ができてよかった」

「俺も忘れないよ」

「また出会ったら、声かけてね」

「小浜さんはますますキレイになるだろうから、俺、気づかないかも」

雨に濡れたせいか、砂糖漬けパイナップルの芳香は艶やかに俺をくすぐるけど
きっと、つぎに会ったときは違う香りに変わっているだろう

「そうよ?見返してあげるんだから」

そう言って、席を立つ。

「うん、実現すると思う」

「あ、憎たらしい」

「本当にそう思ってる。元気で。
とりあえず早く温まって?」

「うん、送ってくれてありがとう。
宮石君も風邪なんてひかないで?」

軽く手を振って、彼女が明かりに吸いこまれるのを見送った。

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