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本気になんかならない

第26章 趣味:和歌

それにしても、
可愛らしい和歌を選んだよな…北里。

うん、俺が式子内親王とわりない仲なら、
自分を想ってつらすぎる胸のうちを吐露する歌より、こちらを取りあげたいな。

なのに定家が『玉の緒よ』を選んだってことは、
あくまで、”忍ぶる恋”という題にそって考えた高貴な遊び上での短歌であり、定家への恋文ではないのでは?

だって和歌を選んだ時期は、内親王の死後とはいえ、彼女の顔に泥は塗れないだろ?

”隠していたけど、内親王殿下と僕は、こんな仲でした~”
なんて、暴露しないと思うんだよな。

もしかすると定家には想いがあった。
いや、もしかするとは要らないかも。
けれど、遂げられはしなかった。
んじゃないかなぁ?

憧れ、敬う気持ちはあったにせよ
やましいことなく、清浄潔白な心でもって
内親王のこの和歌を選んだんじゃないかなぁ?

技巧なんてまったくわからない俺の思いつきだから、ただの浅い感想だし、発言しないけど。
そう思って、ふすまに目を戻す。

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