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本気になんかならない

第31章 スクロール

サンタが部屋に入ってきたら、子どもたちはどんな反応をするんだろう?
と、若干身構えていた俺。

でも、誰も飛びかかってきたりなんかはしなくて、泣きだすコもいなくて。
ホッと安心しながら俺は、ステージから大きく手を振った。

それぞれの席から放たれる期待にあふれる多数の瞳に圧倒されつつ。
俺は今、陽気なサンタクロースなんだと自分を鼓舞して、覚えてきた挨拶のセリフを言いきった。

「ホーホッホ、メリークリスマス!
みんな、今日の発表会をとてもがんばったね。
北の空にも届いたよ。

今日は、キラキラ輝いているみんなに、僕からプレゼントを持ってきたんだ。
受けとってくれるかなぁ?」

「はーいっ!」と声を張りあげる子どもたち。
トナカイに自分の名前を呼ばれると、
ワクワクと身体を弾ませてサンタのもとへと来てくれる。

ひとりでは難しい子どもたちは、親やスタッフが付きそって。

そのひとりひとりに声をかけながら、プレゼントを渡す。

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