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本気になんかならない

第31章 スクロール

俺は黙々とハガキにペンを走らせる。
もとにする名簿には、これまで読みでしか知らなかった名前が漢字で記されていて、かなり興味深かった。

ふうん…。
ユエちゃんて、月って書くんだ。
で、ルナちゃんも月ね。可愛らしい。

え?プレゼントを配るときは、誰かの書きわすれだと思ってたけど、コ君って、コウ君じゃなくて、本当にコ君だったの。
湖ひともじ。……潔いなあ。

どれもが、ご両親が考えぬいてつけた名前なんだろうなって
俺ならどんな命名するかなって思いながら、ハガキの山を築いていく。


つぎは、

きたさとさな、ちゃん………。

んんん、

あれ?


これまで順調に動いていた俺の右手が
視線とともに、ピタリと止まった。

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