テキストサイズ

本気になんかならない

第39章 幸せ所有格

年末は紗波をつれ、兄夫婦の家でにぎやかに過ごす。

兄の奥さん(義姉)は妊娠中。
私たち親子は、兄の上の娘(私にとっては姪)の遊び相手をしたり、家事を手伝う。

子どもたちが寝静まり、軽くビールでもというところ。

「お邪魔します」と玄関から入ってきたのは、妹だけではなく、パリッとしたスーツ姿の小川さんだった。

「下で会ったの。お姉ちゃんに話があるって」

突然ここに現れるなんて、妹とも知りあいなのかと思ったけど、違うっぽくって尋ねる。

「どうして私がここにいるとご存じなんですか?」

「すみません。もう一度、あなたに会いたくて…」

だからって、私の兄の家まで?

「あの…お返事は、お手紙でさせていただいたとおりです」

私も、直接会ったうえでお断りしたほうがいいとは思ったけど、冬休みに入ってしまっていたから。

そんな大人の会話をするのに子どもを連れてくわけにいかなくて、そして返事は早いほうがいいと思って。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ