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好きだって気づいたとき

第15章 卒業式

「そう言えば遼太、宿題は?進んでる?」

「あっ・・・あぁ・・・ちょっとね」

「・・・やってないな」

「そんな・・・う〜ん・・・はい」

「部活も頑張んないといけないけど、あいかわらずだな。
どうするんだよ、休みも中盤だよ」

「大丈夫・・・大丈夫だよ。ちゃんとやるからさ」

「もう俺いなくなるんだから、お前の勉強の世話してやれなくなるんだからな」

「わかってるよ、そんな事急に言うなよ。
一緒にいられるの明日までなのに・・・」

「ごめん、遼太」


寂しそうなというか、ちょっと怒ったというか、下を向く遼太。
何か気まずい空気感作り出してしまった俺。


「ねぇ、ピザ何がいい?」

「なんでもいいよ。友哉にまかせる。
あっ、あとポテトとコーラたのむ」


電話でピザを注文していると、2階に上がっていく遼太。
注文をしてから俺も2階に上がると、ベッドの上でアルバムを見ていた。
俺が部屋に入ると少し横にずれて、隣に来るようにと軽くベッドをポンポンとたたいた。
心の中で“俺のベッドだし”と思いながら遼太の横に寝転がった。
見ていたのは卒業式や合格発表、入学式のときの写真。


「遼太、中学の卒業式もめっちゃ泣いたよな」

「俺こう見えても泣き虫なんだよ」

「けっこうな勢いで泣いてたよな」

「みんなと別れたくないって寂しさと、何だろうな・・・
あの雰囲気でやられちゃうんだろうな。
お前はあまり泣かないよな」

「泣いたって記憶、あまりないな」

「俺は・・・お前が泣いたの見たことあるよ」

「俺、いつ泣いた?」

「いつでもいいじゃん。
俺だけが知ってる、お前の泣いたところ。
俺だけのヒ・ミ・ツ」

「何だよ、キモっ」



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