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好きだって気づいたとき

第1章 色濃い2ヶ月

「おっ、懐かしいな・・・」


部屋の片付けをしていると、アルバムに目がいった。
やらなくちゃいけないのはわかってるんだけど、こういうものを見つけると、つい手が止まってしまう。


「よくもまぁ、こんなにも木登りができたもんだよな。俺らは猿か!」


小学生6年のときの写真。
学校が終わって家に帰ると、いつもの空き地に集まり、よく木登りして遊んでいた。


「たった2ヶ月だけど、こんなにも写真があるなんて・・・
前にいたところよりも写真撮ってるな」


俺は親父の仕事の都合で、卒業まであと2ヶ月ってところでここへ引っ越してきた。
友達を作るきっかけになる遠足や運動会、文化祭も修学旅行も何もない。
俺は子供なりに親父の会社を恨んだよ。


「うわぁ、汚ねぇ・・・泥だらけじゃねぇか」


アルバムをめくりながら、荷物の間に寝転がった。


「向こうにいた6年間より、こっち来てからの2ヶ月の方が思い出が多いよ・・・あっ!
俺の写ってる写真、必ずこいつも写ってる。
気がつかなかったな」


卒業までの2ヶ月を、色濃い思い出が作れることができたきっかけになった俺の友達。
会わない日がないくらい、いつも一緒だった。


「こいつと別れたくない」








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