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好きだって気づいたとき

第10章 中学最後の夏休み

明日から待ちに待った夏休み。
俺達は受験生だから、悠長な事は言ってられない。
でも適度にガス抜きしないと気分的に参ってきまう。


「宿題ほとんど終わってるしさ、プールでも行かない?」

「ほとんどだけど、全部終わってるわけじゃないよ。
なら今日うち来いよ。終わらせようぜ」


終業式が終わり、俺は職員室に呼ばれた。


「はい、わかりました。気を付けます」


下駄箱へ行くと待っているはずの遼太がいない。


「あれ、遼太がいない・・・トイレか?」


俺も待っていればいいのに、何だか気になって遼太を探しに行った。
教室、トイレ、引退したけどサッカー部の部室、体育館。


「いねぇな。どこ行ったのかな。
黙って先に帰るはずないし・・・んっ?」


下駄箱へ戻ろうとすると、体育館裏が気になり近づいて行くと、話し声が聞こえてきた。
そっとのぞくと遼太の姿が見えた。


「遼太、何してんだよ。
探しちゃったじゃ・・・あっ」


遼太だけだと思って近づいて行くと、そこには木村と他に3人、そして同じクラスの吉田がいた。


「何してんだよ」

「おや、遼太と仲良しの甲斐田君。
いや、遼太につきまとっている仲良しアピールしている甲斐田君」


その言葉になぜか戸惑ってしまった。
よく見ると遼太は吉田をかばうように立っていた。
この状況がいまだ理解出来ていない。


「吉田、渡すんじゃねぇ」


カバンに手を入れ何かを取りだした吉田。
それを木村に渡そうとしていた。


「でも渡さないと、バラすって・・・」


俺は2人に近づいた。


「こんな事したって、いつまでも金を払わされるだけだよ」

「だけど・・・俺、試合に出られなくなる」


どういう意味だ?













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