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まだ見ぬ世界へ

第2章 愛のカタマリ

「お前ら、カズに何しやがるー!」

「ぜってー、ゆるさねー!」

「やべっ、にげろー!」

うずくまったていたボクの周りから、いじわるをしてきたクラスの子がいなくなった。

「カズ、だいじょうぶか?」

「カズにぃ、ケガはない?」

「な…い」

泣いているボクは、はずかしくて上を向くことができない。

「だいじょうぶだよ、いつでも助けてあげるから」

お父さんみたいにしょう兄ちゃんがボクの頭をいい子いい子してくれた。

「オレがカズにぃを守ってやる!」

ゆっくりと上を向くと、じゅんくんがボクシングのマネをしていた。

「ホント…に?」

ゴシゴシと目をこすって、しょう兄ちゃんとじゅんくんを見たら笑ってくれた。

「やくそくする」

しょう兄ちゃんがボクの前にしゃがむと、小指を立てた手をのばしてきた。

「やくそくな!」

じゅんくんもボクの前にしゃがむと、しょう兄ちゃんと同じように小指を立てた手をのばしてきた。

「ぜったいだよ?」

「「うん」」

「「「ゆびきりげんまん、ウソついたらはりせんぼんのーます、指切った!」」」」

うたいおわったらみんなわらっていた。

「よし、そろそろかえろっか?」

しょう兄ちゃんが立ち上がると手をのばしてきた。

「あー、おなかペコペコ!かずにぃ、早くかえろ!」

ボクの手をギュッとじゅんくんがにぎって引っぱると、いっしょに立ち上がった。

「うん、かえろ!」

ボクはしょう兄ちゃんの手をギュッとにぎった。

「カズはなに食べたいの?」

「ハンバーク!」

「オレはクリームコロッケ!」

「ハンバークがいい!」

「クリームコロッケだ!」

じゅんくんとケンカしながらかえると、おうちからぎょうざのにおいがした。

ぎょうざはしょう兄ちゃんの大好きな食べもの。

ボクとじゅんくんは『イヤだー』と泣きさけんだけど、おなかいっぱいになるまで食べた。

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