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まだ見ぬ世界へ

第5章 さよならの恋人

2017年6月17日

この日は俺にとって忘れられない誕生日になった。







「お疲れ様でした、明日……よろしくお願いします」

深々と俺たちに頭を下げる後輩たち。

明日のワクワク学校大阪公演に向けての前日リハーサル終了後、Sexy Zoneやスタッフとの食事を終えてホテルに戻ってきた。

「よろしくねー!」

少しお酒が入ってテンションの高い相葉さんはブンブンと手を振っていいる。

「そんなにずっと振ってたら、部屋に入れないでしょ」

カードキーを持っている手を取ると、それを差し込んで部屋へと押し込んだ。

「よろしく頼むな」

「しっかり頼むぞ」

翔くんと潤くんも爽やかに声をかけると部屋へと入っていく。

「みんな、おやすみー」

「挨拶かよっ!」

ツッコみ終わる前にリーダーは部屋へと姿を消した。

「明日……期待してるよ?」

「ちょっとそれ、プレッシャーっすよ!」

俺はニヤっと笑うと慌てる後輩を置いて部屋へと入った。


明日は俺の誕生日。

この歳になって誕生日に期待を膨らますのも恥ずかしいかもしれないけど、俺は誕生日運がない。


6月は基本的にライブの日程が組まれることは無い。

でも久しぶりに開催されたアリーナツアー。

4月からスタートでもしや……なんて期待も、なぜか6月はなし。


そして毎年ほぼ6月に開催されるようになったワクワク学校。

否が応でも期待するが、ワザとかってくらい誕生日に公演は組まれない。

でも今年は2012年以来、ワクワク学校初日が誕生日。


そうなったらさ、色々と……期待しちゃう。


ライブ中にメンバーが誕生日を迎える時は、リーダーの部屋に集まってお祝いをしてる。

『おめでとう』って言ってちょっとお酒を飲むくらいだけど、俺は毎年LINE。

友達が少ない俺にとってはそれも唯一のお祝いだけど、やっぱり直接の方が嬉しいに決まってる。


時計を見ると、時間は23時を過ぎた。


そろそろ……来るかな。

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