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ソレは、そっと降り積もる・・・。

第22章  マリーゴールドは、静かに・・・

  


 欲しいモノ・・・それは、〝誰からも蔑まれない自分〟。みんな、そうでしょ?


「ようこそ、我が家へ。ジュリアスさまのお屋敷とは、雲泥の差でしょう?でも美味しいお茶をお淹れ致しますわ。」


 彼がなぜやって来たかなど判りきっている。しかし敵の本拠地へとやって来たのだから逃がす気などない。


「それは、どうも。しかしながら長居をする気は、ないんです。お話しが済めば帰ります。」


「まぁ、つれない。そんなことを仰《オッシャ》らないで一緒にお茶くらいお飲みになって下さいませ。当人同士がどうであれ、お互いの両親が決めた許嫁《イイナズケ》同士なのですもの。」


 終始にこにことしているがトゲを忘れない彼に自分も同じように振る舞う。


「お茶を飲んで語らえる間柄とでもお思いですか?」


「ふふ、怖いお顔。」


  

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