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「そもそも私たち貴族の子に〝惚れた・腫れた〟なんて意味があるのですか、ジュリアスさま。あなたも結局いままで特定のどなたかを作らなかったのは、それをご存知《ｿﾞﾝｼﾞ》だったからなのでは？」


　自分と変わらないのだ伝えるしかない。


「なんだと？」


「結局、私を選ぶより他にないのです。それにあなたは、気が付かないフリをなさっているだけです。」


　立場を判っていないのは、彼なのだ。


「寂しい･･･ヤツだ。」


「なんとでも。私たち貴族に〝愛〟など不要なのです。どうせ殿方は、他の女を連れてくるのだし。子が出来なければ・男児を産めなければ家柄だけのお飾りの妻なのですから。
　家柄くらい気にして気丈に立ち振る舞っていなければ気が狂ってしまうわ。」


　この国での男女の役割などいいや、上流階級の夫婦の間柄などこんなものだ。