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ソレは、そっと降り積もる・・・。

第23章   宿り木の下で偽りの口付けを

  


「珱月さま・・・?」


「ちょっと、休むわ。」


 胸が苦しくて目眩がする。


「はい・・・」


「っ・・・・・・?!」


「珱月さまっ!!」


 立ち上がろうとしてふらついた。メイドの声が遠くに感じる。


「珱月さまっ、珱月さまっ!!」


「(ああ、ごめんなさい・・・。また、泣かせて・・・・・・)」


 メイドが泣いているのかくらいは、感じ取れたが身体が重く意識も遠退きだしたので拭いてあげることも出来ない。


「泣かな、いで・・・マリー・・・・・・」


 意識が途絶えるのと同時に身体は、楽になった。


「珱月さまっ!!」


 メイドの声は、もう届いていなかった。



 信じるのは、〝愛〟故?それとも〝利己〟故に・・・・・・?


  

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