テキストサイズ

ソレは、そっと降り積もる・・・。

第31章   ホオズキをはむ時

  


「今日は、長旅でお疲れでしょうから・・・当家にお泊まり下さい。明日にでも大使館へご案内致しますわ。」


 〝疑うこと〟を知らないのだろうか素直な2人に猫被りの優しさを向ける。


「ありがとう、ございます。では・・・お言葉に甘えさせて頂きます。」


「ええ、ゆっくりお休み下さいませ。」


 国王と婚約者の動向は、判っていた。空港に先回り出来たのは、本当に運が良かった。〝黒髪の乙女〟の両親に訴え出てもらえれば必然的に彼女は、帰国する。
 外交問題に発展すれば国王も婚約者も諦めざるおえない。誰も使えないのなら自ら立ち回るだけだ。


「それでは、失礼致します。」


 2人を部屋に残して執事を連れて出た。


「邪魔が入らないように監視をきちんとね。」


「畏まりました、お嬢さま。」


 執事に指示を出して自室へと戻る。


  

ストーリーメニュー

TOPTOPへ