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ソレは、そっと降り積もる・・・。

第5章  すれ違いの褥

  


「それも、そうですね。」


 この兄弟のような、友のような時間が関係が好きだ。優しくってくすぐったくて、俺に似付かわしくないのに焦がれてしまうこの空間が・・・


 》 》 *


「こら、マリー!!」


 寝室の前でドアノブに手を伸ばしそうなメイドに声を掛ける。


「ロイさま・・・・・・ッ」


「ここに今日は、近付いてはイケないと言い付けたのを忘れたんですか?」


「いいえ・・・」


「だったら、なにをしているんです。入ったばかりだから知らないかもしれませんがジュリアスさまは穏やかに振る舞っていますが本来は気性が荒く癇癪《カンシャク》持ちです。
 言い付けを守らない者は、容赦しません。」


 少々大げさに言うのは、使用人の危機管理のためだ。


「昨日・・・お倒れになったのにお医者さまにも旦那様は、珱月さまを診せて下さいませんでした。心配で・・・・・・」


  

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