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オオカミは淫らな仔羊に欲情する

第25章 揺れ動く気持ち


「う~ん……美味しい! 最高!」


 各務さんが私達の為に用意してくれたのは
 2種のロールケーキ。
 
 ひとつはこのお店の看板商品である
 ”手作り粒あんの抹茶ロールケーキ”
 
 そしてもうひとつが新作スイーツ
 ”3種の苺のフレッシュロールケーキ”
 
 
 どちらも甲乙つけがたい美味しさだった。
 
 利沙はさっさと食べ終わると、
 テーブルに自分の代金を置き立ち上がった。


「えっ ―― 何よ」


 利沙は小声で、
 
 
「邪魔者は消えるよ。2人でごゆっくりどうぞ」

「利沙ちゃんも帰るの? 送って行こうか? 
 車で来てるから」
 
「ラッキー。じゃあ、お願いします」     
    
    
 利沙と忍さんは出ていってしまい、
 店内には他のお客さんとか店員さんはいるけど、
 カウンター席には各務さんと私だけ。
 
 何となく気まずい……。
 
 

「―― で、俺は何番目なわけ?」

「えっ?」

「人からのお誘いメールはシカトかますくせして
 さぁ、合コンする時間はあった訳だ」

「!! そ、それを言うなら各務さんだって ――」


 私の脳裏には学校の屋上で見た
 彼と神宮寺さんの姿がちらついている。


「あー?? 俺がどうしたよ」

「神宮寺さんからあんなにモーションかけられてる
 のに、適当にあしらい過ぎだと思います」
 
「あれ~ ―― ひょっとして、ヤキモチ焼いて
 くれてるぅ?」
 
「なっ ―― どうして私がヤキモチなんてっ」


 すると各務さんはレジに立っている店員さん・
 この麻布十番店のマネージャーに声をかけた。
 

「―― あぁ、北見さん。チェックお願いします」

「畏まりました」

「えっ、私まだ来たばかりなんだけど」

「甘いもんなら何時でも食わしてやる。けど、
 嫉妬するほど惚れた男とヤる事は
 もっと他にあるだろ」

「他って……」

「それを今、俺に言わせる気?」

「……」


 う、うわぁぁ……各務さんってば、
 いつになく攻めムード半端ないんだけど。

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