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オオカミは淫らな仔羊に欲情する

第29章 心が悲鳴をあげても


『――そう。大人しくしてりゃあ手荒な事はしねぇ。
 オレらのテクで天国魅せてやるからな』


 男の手が、唇が、舌が、執拗に
 絢音の躰中を這いずり回る。

 絢音は躰を強張らせ、
 小刻みに震わせてもはや不快でしかない、
 男の愛撫にただ耐えるだけ。そして――
 脳天を突き抜けるような、
 いきなりの激痛に躰を仰け反らせ絶叫する。



「!!ぐはっ―― お父さん、助けてっっ」


 すると場面はいきなり切り替わり、
 絢音を悪漢から救う為、 父が男達を次々に
 倒していった場面へ。



『―― この腐れ外道どもがぁぁっっ!!』


 静寂の中、数発の銃声が鈍い音で響き渡った。


 それと同時に、どこか全く違う所から
 絢音を呼ぶ声が聞こえてくる――


「あや? ―― ねぇっ、あやってば!」


 肩を揺すぶられ絢音はやっと
 悪夢から醒める事が出来た。



「いやぁぁぁぁっっ!!」


 額にびっしょり玉のような脂汗を浮かべて、
 飛び起きても未だ小刻みにカタカタと震え続ける。
 そんな絢音の躰を咲夜はそうっと優しく
 抱きしめた。


「大丈夫 ―― もう大丈夫。
 私がずっと傍にいるから」

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