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オオカミは淫らな仔羊に欲情する

第2章 家族について


 私には3才年上の姉がいる。
 
 年が近かったからか?
 私はいつも姉の後ろをくっついて歩いているような、
 甘えん坊だった。
  
 だから姉・初音とは町内でも評判の仲良し姉妹 ――。


 母子家庭の我が家は、
 母が仕事で家にいない事が多くて、
 初音姉さんが忙しい母親に代わって
 私の面倒をみてくれた。


 子供の頃は別に可怪しいとは思わなかったけど
 ある程度大きくなって、外界(世間)との関わりが
 多くなって来た頃ようやく ――
 ”あれっ。うちのお母さんって何か、変?”
 と、疑問に感じる事も多くなって。
  
  
 鈍な私は母親が家に不在がちなのは、
 仕事で忙しいせいだとばかり思っていたけど、
 実際は違った。


 姉さんは、夜中、私が寝静まった頃にやって来る
 お父さんとお母さんの罵り合いを偶然聞いて
 しまったり、ご近所の小母さん達の噂話しなんかで、
 かなり前からその事を知っていたらしい。

 もちろんそんな噂話しの類なら、
 私の元にも届いていたけど。

 そんな話しは ”ただの噂”

 小母さん達が暇つぶしに作った与太話に
 過ぎないと思っていた……。

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