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オオカミは淫らな仔羊に欲情する

第10章 新天地・東京へ


 間に10分の小休憩を挟んで、
 各50分×3の授業も終わり ――。
  

「そりゃ、そうと、絢音は夏休み、実家に帰るん?」

「ううん、今のとこその予定はなし」

「じゃあさ、花火観にいこーよ! 
 ディズニーランドの!」

「……誰と?」

「うちと、洋と……まだ未定」
 

 洋とは利沙のセフレだ。

 利沙の実家のホテルがディズニーランドの後援を
 している関係でチケットが優先価格で手に入る。

 せやけど ――

 何が楽しくて恋人達満載のデートスポットに
 独り身のうちが行かねばならないのだ!

 ……と言っても、夏休みは市場も休市日で
 暇だしなぁ……


「じゃあ、誰も行く奴がおらなんだら行ってやっても
 えぇかなぁ」

「うわぁぁぁ上から目線!」


 わざとらしく怒る利沙に笑いながら、
 立ち上がる。       


「ほな、今日はバイトの面接入ってるから、
 もう行くね」


 珠姫さんのお店『マーケットカフェ』でのバイトは
 平日の朝5時から7時まで入ってる。

 本当は放課後もバイトに入りたいんだけど
 珠姫さんは ”学生の本分は勉強にある”
 といって、なかなか許してくれない。

 ま、品行方正な学生生活を送っている分には
 フィガロでの早朝バイトだけでお小遣いに
 コト欠くって事はないんだけど……一応は年頃の女子
 だから、恋もお洒落も人並みにしてみたいじゃん?    
  

「おぅ。気張りぃや」
 

 笑いながら利沙と別れて面接場所の**へと
 向かった。


 夏休み……クリスマス……恋人……

 そりゃ、欲しいのは欲しいが、デートをする時間も
 お金の余裕も無い!

 学校卒業するまで恋人はお預けかなぁ……。

 ファイトだ! 勤労少女!

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