オオカミは淫らな仔羊に欲情する
第18章 体育祭
「あやねぇぇ! ボクちんも6位だよ~!」
めぐみが、6位の紙を見せながら突進してきた。
因みにこの子は、この学校の理事長のご子息様。
のほほ~んとした外見通り性格もいいし、
総合的に見たら、あの『ダサ男』より、
いい奴かもしれない。
政治屋一家の三男の割にバイク好きの走り屋集団に
所属するくらいの、バイクきちがいって点を
気にしなきゃね。
「先頭集団で、だよね?」
彼の走りは、オリンピック選手並み。
因みにそのめぐみが走った教職員チーム第1組の
1位があの『各務先生』だった。
「私は、2位~! 桜すっごく頑張ったんだよ~、
ねーあーちゃん、いい子いい子してぇ」
桜が、満面の笑みで走ってきた。
両性具有だけど、
本当にめっちゃ可愛い顔をしている。
性的な対象として先輩だけでなく、
後輩からの人気も高いみたいだ。
でも、ものすごく天然で、不遠慮なヤツ。
思ったことを、すぐに口にする。
「最後尾グループで、だよね?」
桜は私より運動神経が残念なヤツだ。
その点、ものすごく親近感を覚える。
いや、ホントここにいると、今までの自分の価値観
全て変わってしまいそう……。