テキストサイズ

オオカミは淫らな仔羊に欲情する

第18章 体育祭


「?!」


 ゆっくり目を開けるとそこには、
 はぁはぁ ――と息を切らせたダサ……各務先生
 がいた。


 先生は私を抱きかかえたまま歩くと、
 人の群れから外れた場所に私を下ろした。


「ったく ―― あんま無茶をするな」

「あ……」


 周りの歓声が、すごくヒトゴトみたいに、
 聞こえてた。


「しばらくここで大人しくしてろよ」


 そう言いながらすぐに競技に戻って行った
 先生の足から、ダラダラ血が出てる。 


「ちょっ!」


 え? あいつ、なに? あの流血……。

 もしかして、私を助けた時に?

 痛くないの?!

 いやいや、あれだけ流血してるんだ、
 痛くないワケがない。

 早く手当をって言いに行こうとしたら、
 事務の刑部さんが先生に声を掛けたのが見えた。

 血が出てる足を、彼女が指さしてる。


「あ……」


 その刑部さんが先生を引っ張って、
 保健室の方に向かって行くのを、ただ、見送った。


 なんか……あれ?

 ちょっと……あれ?

 気分的に、何だか私……おかしい。

 ……なんで?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ