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夜の影

第19章 カズ

【和也side】


キ ス するのかな!?

するよね!?

サト兄とショウの口が少しひらいたところで、松兄がウオッホンって。

咳ばらいした。

「お前ら、カズが見てるぞ」

ええっ!?

サト兄とショウが同じ動きでこっちを見る。

指の間から見てたオレと目が合った。

とたんに二人の顔が真っ赤になった。




松にい~。

ジャマしちゃだめだよ~。




「カズ、智は翔と話があるから
一回マンションに帰らせてもいいか?
俺と二人でゲームして待っていよう
それとも一人で待てるか?」




一人でも待てるよ。

でも。




「…松兄と マ リ オ する」

「おっ、そうか
やろう、やろう」

松兄がニコニコ笑って、靴を脱いだ。

「ほら、お前らは早く行け
まったく、さっきから声がでかいんだよ
静かなのがウリの店なんだぞ
営業妨害だ」

「すみませんっ」

松兄がニヤニヤしながら言って、シッシッって手をふった。

あれは怒ってるわけじゃないんだけど…。

ショウが松兄にあやまって深々とおじぎをした。

「智、2時間な
終わったら、部屋片付けておけよ」

「うるせぇっ」

サト兄が真っ赤な顔のままで、松兄に言い返した。




『くっくっく』

もう一人の兄さんが笑ってる声がする。

兄さん、オレ、二人のこと助けられた?

『ああ、上出来だ』

オレね、もう少しサト兄と松兄のそばにいたい。

『そうか、そうするといい』

兄さん、まだオレのそばにいてくれる?

『四十九日までだな』

あと何回ねたら、しじゅうくにち?

『もう少しだ』

そっか。




『カズ、ゆっくり大人になってもいいんだ
お前にも特別な相手がいるから
のんびり待っていればいい』




うん。

そうする。

そうすることにする。











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