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夜の影

第8章 素描

【智side】

ショウは翌朝まで目を覚まさなかった。

何があるかわからないから、躰 を離した後、しばらくは様子を見守ってたんだけど。

呼吸が落ちついてるから、深く眠ってるんだろうと判断して、自分だけシャワーを浴びた。



空腹を感じたけど、カズの姿が見えない。

ショウを置いて一人だけ外出するわけにはいかない。

ソファセットのテーブルに薬箱と出前のメニューが出してあるのを見つけて、そう言えば仕込みが始まると、カズは上で寝るんだった、と思い出した。

仕事が終わって、上に移動したんだろう。

薬箱を用意しているあたりがカズらしい。

多分、俺が初めての時、寝込んでしまったことを憶えてるんだろうな。



あの時、カズは別室とは言え、俺とアイツの 行 為 の 気配を否応なしに聞かされることになった。

熱を出した俺の面倒をみてる間、ずっと泣きそうな顔をしてたっけ。

昔の話だ。

そう言えば今日も、カズは泣きそうな顔をしてた。

もう長いこと、笑顔を見ていない。



社長はいくつもマンションを持ってて、事務所の上でだけ暮らしてるわけじゃない。

俺がアイツと一緒に住んでた頃は、上の部屋にいつも帰ってきてたけど。

経営してる飲食店がアチコチにあるから、今は、その時々で、便利の良いところにあるマンションで寝起きしてるらしい。

アイツ気分屋なところあるし。

一か所に留まるようなタイプでもない。

俺は滅多にやらないけど、恐らくこの部屋を誰かが仕込みで使う時、アイツは上の部屋を空けて、カズが避難先として使えるようにしてるんだろう。

当たり前だ。

カズを関わらせないために、俺が玉になったんだから。








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