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my destiny

第15章 Accident 2

【智side】

オイラは学校の勉強も出来なかったし頭の回転もゆっくりだから。
誰かを思う通りに動かしたり、手の平の上で転がすようなことはそもそも出来ない。

だから、相手が誰でも同じ態度で、なるべく嘘をつかないようにしてる。
結局は、正直で誠実にしてることが一番強いと思うから。

それで、このお兄さんにも、嘘とか隠し事はしないことにした。


「お兄さん、
メール来たみたいなんだけど見てもいい?」

「…………」

「もしかしたら
ボンちゃんからかもしんないし
あとね、オイラ今日二人で来たから
一緒に来た人がきっと心配してる
連絡したいんだけど、してもいい?」

「…………」


お兄さんは黙ってオイラを見てたけど、何だか目つきが険しくなってきた。


「おまえ、ホントにバカボンの親戚か?
似てねぇだろ」

「えっ、ホントだよ
父親同士が従兄なんだ
だから苗字も同じ大野だし」

「俺をつけて来たんじゃないだろうな?」

「違うよ!たまたまだよ」


お兄さんは瞬きもしないでオイラをじっと見てる。
目がだんだん細くなる。


「…確かに俺もおまえの顔は見憶えある
俺とどこで会った?」

「ごめん、それオイラも考えたんだけど
ちゃんと思い出せないんだ
多分どっかの船だと思う
お兄さん釣りやる人?」


思い出そうとしてるのか、首を捻ってるけど。
この人の方でもわかんないみたいだ。


「釣りなら昔、バカボンとはよく行ったよ
そん時に会ってんのかもな…
メール見てもいいけど、俺にもチェックさせろ」

「いいよ、多分ボンちゃんか
でなかったら翔君だから」


言ってオイラはスマホを取り出した。





『さとし このメールを一緒に居る人に見せて
 とりあえず無事かどうかだけでも知りたい
 しんぱいでおかしくなりそうだ
 あなたが今一緒に居るのは 俺の
 いちばん大切な人です返してくれませんか
 しんかんせんは郡山で止まります
 手伝う事があれば言って10分後電話します
 留守でんになっていないことを祈ります

 櫻井翔』





「っ…う…」


読んだ途端に涙が出て来た。
スマホを手に持ったまま、腕で顔を隠す。

翔君。


「うっ…っ…」


翔君。

心配かけてごめんね。
オイラ、ちゃんと無事だから。

オイラもあいしてる。

あいしてるよ。

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