テキストサイズ

my destiny

第1章 Prolog

【智side】

「みんなね、
生きてる間に、絶対にこれをやる、
って決めてることがあんだって」


人生の目的の話はね。
夏休みの宿題みたいだと思ったの。

じーちゃんの話には続きがあって。

『早く終わらせたら、残りは自由に遊べる』

って、言われた。

自分の目的が何か、なんて、勿論オイラにもわからない。

ただ、頑張ったら、後でご褒美がある、みたいな気持ちになって、わくわくした。

翔君と二人だけの後部座席で嬉しかったし、楽しい内緒話をするみたいに言ったんだけど。

強い否定の言葉が返って来て、自分にガッカリしたんだ。
また、やっちゃった、と思って。

オイラさ。

子供の頃から、同級生とか、周りの子達の気持ちがわかんないことが多くて。

みんなと同じ気持ちを共有できないことが一杯あったのね。

それで、何か、自分は宇宙から来たんだろう、みたいに思うこともあって。

だから、スーパーサイヤ人とか、好きだったのかな。
自分をそういう設定にしてたんだろうね。

そんな感じで。

事務所に入ってからも、やっぱり自分はみんなとは感覚が違うんだな、っていつも思ってたよ。

だから、嬉しかったんだ。
ちっちゃな翔君が褒めてくれて。

踊りが凄い、って。

歌が凄い、って。

おっきな瞳をキラキラさせてさ。

オイラのこと、好きだって言ってくれて。
嬉しかった。

逃げきれなくてデビューして。
デビューするまでにも、いろいろあったでしょ。

オイラのこと、みんな知らなかったし。
嫌ってる人もいたし。

同情されて、可哀そうがられるのも、正直しんどかった。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ