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my destiny

第8章 言葉よりも大切なもの

【智side】

新しいアルバムのレコーディングが始まってからも、翔君はドラマのプロモーションがまだびっしり入ってて、相変わらず忙しかった。

やっぱり朝はオイラより早く出るのがほとんどだし、帰って来るのもオイラより遅い方が多い。
仕事だから、それに対して不満はない。

翔君が帰って来るまでの時間は、もらった歌を気兼ねなく練習出来て、言ったら変だけど一人でやれて丁度良かったし。

二人がそろって家に居る時間は相変わらず少ないけど、あれから、なるべく翔君と同じタイミングで寝るようにしてる。

狂ってしまった体内時計は簡単には戻らなくて、夜は中々寝付けないし、昼間は眠くてぼんやりしちゃうんだけど。

二人で一緒にベッドに入る日が続くと、それも少しずつ修正されて。
ふらふらしてた足元が、ちょっとずつ、しっかりしていくような気がした。

それに、翔君、夜は家で食事をすることにしたみたい。

ずっと、遅い時間になる時は弁当か外食で済ませていたのに、出来れば帰ってから家で落ち着いて飲んで、何かつまみたい、って言われて。

最近オイラは食欲がなくて、家でもまともに料理してなかったんだけど、そういうことなら、って、また何か作るようになった。

翔君の方が遅い時は面倒だから食べないでビールだけ飲んだりしてたのが、二人で向かい合って一緒に食事しながら、特に重要でもない話をして、ああだ、こうだ、と話すようになって。

少しずつ、食べられるようになってきた。
まだ、一人前は多くて食べきれないけど。
紙を噛んでるようだったのが、なくなった。




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