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my destiny

第10章 僕が僕の全て

【翔side】

「どう?いい感じ?」

主語を省いて言ってみる。
俺も書けない時はあるから、振り付けに関して進捗を訊くときはちょっと気を遣う。

「ん~、まぁまぁ?
半分は出来たから、うまく行けば明日中かな」

「お!凄い
三連休の内一日は空くじゃん
あ、このお吸い物、美味しい」

「でしょ?簡単なの
翔君でも作れるよ」

「俺はいいよぉ」

ふふっ、と笑ったかと思ったら、不意に目を伏せた。

「オイラさぁ、もし明後日空いたら
やっぱり仙台行って来ようと思って」

「え、釣 り?」

「ううん、釣 り はもう諦めた
ボンちゃんの奥さん、入院したんだって
あんまり調子よくないみたい
仙台だったら近いし、
ちょっとだけでもお見舞いに行こうかなって」

「ああ、そうなんだ」

ボンちゃん、というのは智君の親戚で、再従兄?になるのかな?
確か智君より3~4歳くらい年上で、40歳は過ぎてる筈だ。

智君のお父さんがあちらの出身で、子供の頃から親戚で集まる事があるとよく遊んでもらってた、という話を聞いてる。

大人になった今でも智君とボンちゃんは交流が途切れず、智君はあちらに行った際に彼と一緒に 釣 り に行くのをいつも楽しみにしてる。

俺も昔、智君とサッカーを見に行った時にお会いしてるんだけど、中々豪快な感じのお兄さんで、ボンちゃん、というのはバカボンとかアホボンとかのボンから来たあだ名だと聞いた。

お子さんが一人居て、智君も会うと小遣いをやったりして可愛がっていたらしいんだけど。
震災の前に交通事故で亡くなったそうで。
あの時は智君も随分泣いていた。

今回、40歳を過ぎて二人目を授かった奥様が入院した、ということらしい。

「オイラにお腹を撫でて欲しいって
奥さんが言ってたんだって…」

「わかった、明後日ね
俺も予定入れてないし一緒に行くよ」

「…いいの?」

「車があった方がいいんでしょ?
レンタカー手配するからね」

「うん!ありがとっ」

良かった、嬉しそうだ。

この人の嬉しそうに照れた顔が、俺は一番好きだな。

俺は新幹線とレンタカーの手配についてどうするか、頭の中で予定を立て始めた。



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