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やさしく愛して 「改訂版」

第1章 やさしく愛して 「改訂版」

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 そんなある日、恒さんが、
 「霧子さん
  海を見に行こう」
 と言った。
 「海を見に?」
 「うん
  霧子さんは
  胸のなかに
  なにかまだ
  抱えているみたいだから
  海を見て
  波を見て
  忘れたらいいなと…」
 「行きたい
  連れていって」
 そして、今、ここにいる。
 海に夕刻がせまってきて、旅館に向かった。
 離れ屋に案内されて、ベランダに出てみると、海が真っ赤に染まっていた。
 「きれい」
 「霧子さん
  君の胸のなかのものが
  全部流れて
  真っ赤になっているんだよ」
 「そうだね」
 「すこし寒くなった
  温泉に入ろう」
 離れ屋についている露天温泉に、一緒に入った。
 「あーっ
  気持ちいい
  恒さん
  つれて来てくれて
  ありがとう」
 「これで
  霧子さんは
  私だけを、
  みてくれる
  私のほうが
  嬉しいよ」
 「うん
  わたしは
  もう
  恒さんだけ」

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