
兄弟ですが、血の繋がりはありません!
第4章 夏の暑い日は溶けていればよし
鶫side
冷蔵庫を漁り始めた悠の目は真剣そのもの。
…心配、なんだろうなぁ。
毎年のことなのに、兄さんが痩せると病気なんじゃないかって1度は悩んじゃうし。
まぁ、あの生活能力低めな兄さんだから余計心配っていうのもあるのかもしれない。
「よし、お昼ご飯決まった」
「おっ何なに?」
「具沢山ひと口おにぎりっ」
腕をまくり、肩にかけていたタオルを頭に巻き直したハルルはそう高らかに宣言した。
「・・・名前そのまんまだね」
「いいんだよ、分かりやすくて。あ、鶫くんこっち入って来ないでね、吃驚するくらい作業効率落ちるから」
「ひでぇ」
キッチン進入禁止令が発令されました。
じゃあオレはここで見てよーっと。
「おにぎり何種類作んの?」
「3、かな…暑くて買い物行けてないから冷蔵庫の食材あんまり使えないし」
「今あるものだけで明日の夕方、つまり明日の夕飯までもたせる気…?」
「うん。まぁ正確には明後日の朝ごはんまで」
「ということは、質素なご飯生活…?」
「そんなこともないと思うけど」
「ほっほんとに?」
「ただ、お肉は冷凍の分終わったらない」
「無理!男3人育ち盛りには肉がなきゃ!」
終わったあぁあぁぁあ!!と大袈裟に床へ崩れ落ちる。…あ、ここちょっと冷たい。
「鶫くんはともかく、智にぃと俺はそんなに肉食べるタイプじゃないから。それに魚ならあるし」
「オレは!肉が食べたいの!…ハッ!肉の臭いがする!」
キッチンからする仄かな肉の香り!
ズルズルと床を這って悠の足下に到着。
「ホント鼻いいよね、ササミ茹でてるだけなのに」
「ササミ!高タンパク低カロリー全国スポーツ男子の強い味方!」
「はいはい、危ないからあっち行ってて。
あと智にぃ呼んできてよ。ご飯要らないって言ったら引き摺ってでも連れてきて」
あ、上から注がれる悠の視線。
やべぇ目が笑ってないから"引き摺って"も本気だ。
「さ、サーイエッサー・・・」
