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僕ら二人

第1章 プロローグ

アジサイの花が歩道に元気に咲き誇っている。

塚田絵美子と朝の挨拶運動の帰り道。

昨日という日がリセットされ、また新しい一日が再生される。

そんな当たり前の事が無性に心強く思えた。

登校する小さな子ども達を見ているとこちらも元気をもらえる。

そんな気がしてならない。

「旗振り当番って楽しいですね」
絵美子が屈託なく微笑んだ。

「そうですね。朝は気持ち良いし」

「新鮮な気持ちになれるわ」

二人は並木を見上げて今日の天気を占った。

空は高く何処までも青い。

そこだけ切り取った絵葉書のように白い雲が見慣れた街を覆っていた。

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