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無表情の宇野くんA

第1章 無表情の宇野くん。

宇野くんは無表情だ。無表情で、その上無口だ。彼は誰に対しても口を開かないし、感情を表に出そうとはしない。


とにかく宇野くんは無表情だ。


しかし宇野くんは変わった。同級生の五味さんに愛の告白をし、交際し、今現在夢のリア充で、にっこにこのうっふうっふである。


にっこにこということはないが。


まだ無表情さがある。しかし、人間味は以前よりもあるように思える。なんだろう、やはり喋るようになったのが大きいのだろう。


無表情の宇野くんは、ちょっと感情を表に出すのが苦手な宇野くんに進化を遂げた。


長い。そんな名前は呼ぶのが嫌だ。


そんなことやあんなことがありながら、私たちは高校二年生へと進級していた。


もう二年前の出来事だと思うと驚く。二年あれば、ダイソンが従来の掃除機よりも遥かに吸引力のすごい掃除機を発表するのに、私の頭脳はなにも吸引しなくて困る。


さておき。


なぜ私が今更、そんな宇野くんのことを思っているかというと、大毛さんに会ったからだ。大毛さんは宇野くんや五味さんと同じく私の同級生で、宇野くんの数多い友達である。


久しぶりに会った彼は、中学時代とは比べ物にならないほどにガタイが良く、ボディービルでも目指しているのかと思わされるほどだった。


なんでも、大毛さんは高校に進学しなかったらしい。建築関係の会社に就職して、バイトと掛け持ちしながらお金をたくさん稼いでいるらしい。


そりゃガタイもよくなるわけだ。


そんな大毛さんはお金を持っているのか、「俺が奢るからご飯でも行こうよ」と、ムカつく顔で言って来たので、焼肉に連れて行ってもらうことにした。


私は遠慮という言葉を知らない。


まあ言ってもそこまで高い店ではないので、私の優しさが憎い。


肉だけに。


大毛さんは就職後もちょくちょく宇野くんとは遊んでおり、その大毛さんから聞いた話では、宇野くんと五味さんはまだ上手くやっているらしい。むしろ、めちゃくちゃラブラブらしい。


チッ。

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