徒然に。
第8章 KLEIN キーノ
赤き雫の眠り歌
ピチョン……………ピチョン………
水音の落ちる音がする。
遠く近くで声が響いた。
「まだ速い」
深く心に響く、耳に優しい声。
ふと眼を開けた。大きく広い寝台にシーツにくるまるのは久しぶりだ。
上半身を起こすとやはり居た。規則正しい寝息が二つ。
前後不覚になるほど眠りが深いのは久しぶりに戻った寝室のせいだろうか?
くくられたカーテンは以前の持ち主を反映する様に桜の花びらで彩られる。風に揺れ、綺麗にくくられたかたちが崩れ影を落とす。
俺は今日、前代の王から譲られ赤の王となった。
彼は求め探した品を総て見つけ出し、綺麗な笑顔で俺に王の座を譲った。
「ショウ、忘れるなよ?お前は速かった。ただそれだけだった。王はお前だ」
あれほどに清々しい笑顔を、俺は見たこと無かった。王として、どれだけの時間を共に過ごしたとて、あの笑顔を俺は知らない。
「ショウ、だから忘れるなよ?お前は一人で生まれてなどないことを、お前の目覚めは俺たちと違う。一緒はほぼ無い」
俺が眼を開けたその時も、両脇にはマサキとジュンが居た。
そしてそれを見届けるようにサトシとカズも居た。
俺は今日、赤の王となった。
happybirthday。
ピチョン……………ピチョン………
水音の落ちる音がする。
遠く近くで声が響いた。
「まだ速い」
深く心に響く、耳に優しい声。
ふと眼を開けた。大きく広い寝台にシーツにくるまるのは久しぶりだ。
上半身を起こすとやはり居た。規則正しい寝息が二つ。
前後不覚になるほど眠りが深いのは久しぶりに戻った寝室のせいだろうか?
くくられたカーテンは以前の持ち主を反映する様に桜の花びらで彩られる。風に揺れ、綺麗にくくられたかたちが崩れ影を落とす。
俺は今日、前代の王から譲られ赤の王となった。
彼は求め探した品を総て見つけ出し、綺麗な笑顔で俺に王の座を譲った。
「ショウ、忘れるなよ?お前は速かった。ただそれだけだった。王はお前だ」
あれほどに清々しい笑顔を、俺は見たこと無かった。王として、どれだけの時間を共に過ごしたとて、あの笑顔を俺は知らない。
「ショウ、だから忘れるなよ?お前は一人で生まれてなどないことを、お前の目覚めは俺たちと違う。一緒はほぼ無い」
俺が眼を開けたその時も、両脇にはマサキとジュンが居た。
そしてそれを見届けるようにサトシとカズも居た。
俺は今日、赤の王となった。
happybirthday。