
未成熟の誘惑
第2章 強奪
人間は死ぬ間際まで、自分が死ぬことを考えない。
だから若者は年寄りを馬鹿に出来るし、目の前の交通事故にだって他人事のように野次馬として参加する。
生きているのと同じくらい普通に訪れる死に対して、この国の人間は極端に危機感に乏しいのだ。
「残念だったな。何、あんたが悪い訳じゃない。だが狙った幼女が悪かったな。そいつは裏じゃ高値で取引される高級品なんでな。汚される訳にはいかないんだ……って言ってももう聞こえないかな」
ゴミはついさっき、俺に撃たれて死んだ。
いやもしかしたら現在進行形で死んでいるのかもしれないが、そこんとこはどうでもいい。
ピザの宅配なんて古い手法で上手くいくとは思わなかったが、この手のクズにはちょうどいいらしい。
「さて、よーじょはどこかな」
この狭い四畳半、探すまでもない。
全裸で口を縛られた高級品は、襖の中で涙も流さずに泣いていた。
「初めまして、ハイエナといいます。以後よろ」
