
テレフォン -約束-
第9章 電脳世界
“キン”と音が鳴りそうに冷えた道路標識
縦列に並ぶ車輌の先頭は停止線を越えて赤信号の間もヘッドライトを点灯したままで
歩行者用信号機の薄い青色が急かすように点滅したので、アタシは、ご新規さんと腕を組みながら走り
横断歩道を渡る横顔をそのヘッドライトに照らされて、瞬間的に長い影を作ったのでした
・・・・あの日
非日常で眺めた原色の中の1色になってるアタシ
あの部屋で今頃、誰かが眺めている景色の1つとなっているアタシ
・・・・あの日のピンク色の花束は
・・・・ずいぶん前に
色褪せて
朽ち果て
しなだれてゆき
・・・・枯れました
