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世界で一番尊いあなた(嵐)

第2章 BAR MARIN

ーーーー和也「「秘密の愛…」」
ーーー


翔「じゃ、気をつけてね。きょうはありがと」

和也「俺の方こそ送って貰っちゃってすみません。ありがとうございました。」

翔ちゃんが軽く手を振るとタクシーは暗闇に消えていった
少女漫画のような例えをすれば
その姿は馬車走らせる王子様のようだった

和也(今でも頭がふわふわする…)

和也「こんなこと…ほんとにあるんだ…」

ーーー翔「あのカクテルの名前はコペンハーゲン。デンマークの首都の名前をつかっているからシティカクテルの1種なんだ」

翔ちゃんは初めて俺に期待通りの答えをくれた
まさか俺に送ってくれた酒が本当にあのカクテルだったなんて

和也「翔ちゃん、カクテル言葉…知ってるのかな」

和也「もし知っててあれを俺に用意してくれてたなら…翔ちゃん…」

気がつくと俺は自分ちの玄関の前に立っていた
手探りで鞄の中の鍵を探すと
上の空で家へ入る

大好きなゲームがあちこちに散らばっている
俺はそれを雑にどかしてソファーにダイブした

和也(あー、昨日ゲームログインしてないな)

時刻は深夜1時を回っていた
予定では今頃二本目のゲームに取り掛かっているはずだった

和也(幸せ…だったな)

翔ちゃんの温もりを感じた時間、翔ちゃんの言葉で涙した時間、翔ちゃんと見つめあった時間ーーー
ひとりになるとそれは全部幸せな思い出に色を変えた

和也(今日は虚無感が襲ってこない…)

今までどんなに優しくされても苦しくて辛くて仕方なかったのに
今日はそれが全くない

和也(理解者に会えたり…翔ちゃんへの気持ちが変わったからかな)

「あなたをもっと知りたい、近づきたい」
ただ好きで好きで仕方なくて
でもこれ以上傷つきたくなくて
抱かれることだけを求めていた自分にとってこの気持ちは大きな変化だった

俺は深く息をついてこの気持ちを閉じ込めるように
目を閉じた

和也(もしかして翔ちゃんは俺のこと、弄んでるわけじゃないのかな…)

和也(あのカクテルも…俺へのメッセージだとしたら…)

翔ちゃんのことだけを考えて

和也「翔ちゃん…好きだよ…」

1人つぶやくその言葉は
誰に伝わることなく消えた

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