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若葉

第1章 文化祭

日が暮れた暗い室内は、埃と汗の匂いがした。

『翔…君、もぅやめてっ…』
『智君、もっと腰上げて』

背後から規則的に繰り返される動き。
熱を含まない、冷たい声。

こんなのが、欲しいんじゃなかった…。
こんなのが…。

頭の中に同じ言葉ばかり浮かぶ。

『あっ…』
『いい所に当たった?ここがいいの?』
グリグリと同じ箇所にねじ込まれる。
『ふぅっ…うっ、やあぁっ!』
『俺で感じてくれてるんだよね?松本と、どっちがいい?』

気持ちとは裏腹に、快感に溺れていく。
ヨダレを垂らし櫻井を受け入れていく体。

『翔っ…もぅ、出るっ!』
『まだだよ…まだダメ…』
膨れたそこを根元から強く握られ、止められる。
さらに激しく腰を打ちつけた。

『やだっ…手、離して!』
『俺にキスしてくれたら、離してあげる』
苦しみから逃れる為のキス。
受け止める櫻井は満足気に、さらに激しく動く。

『あっ!んんっ…!』
『智君、出すよ!』

絶頂に導かれ、2人で熱を放つ。

『はぁ…はぁ…』
『智…愛してる…』

背中に落とされたキス。

こんなのが…
欲しかったんじゃないんだよ…
翔君…

自分の愚かさと、切なさだけが残る行為に涙が出た。

遠くから静まり返った部屋に、帰宅時間を伝えるチャイムの音が聞こえた。

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