テキストサイズ

若葉

第2章 嫉妬

全身が痛くて、だるい。
心は雨雲がかかっているように、どんよりしていた。体も心も重たい。

ただただ泣きたかった。

1人になりたい。

『ただいま…』
『お帰り。智、どうしたの?ひでー顔』

玄関を入るとすぐ、出かけようとしていた和也に会った。
『…文化祭の片付け、疲れた』
嘘をつく。
『また、生徒会長様に付き合ってたんだろ?友達だからって、そこまでやる事ないのに。行ってきます』
『相葉の所か?』
『そっ。新しいゲーム買ったんだって。今日、帰らないから、母ちゃんに言っといて』
『行ってらっしゃい…』

楽し気に去って行く、弟の背中を見送る。

階段を上り、自分の部屋に辿り着く。
ベッドを見た途端、どっと疲れが出た。
倒れるように横になる。

『……体、気持ち悪い…』

シャワーを浴びに行きたくても、立ち上がれない。
泣きたいのに、涙すら出る元気がないらしい。

『翔…君…』

彼を嫌いになれたら、気持ちももっと楽になれたのだろうか…。
自分を嫌いになれたら、楽になれるのだろうか…。
呆然とする頭で考えるが、それがどんなに無駄な事かと思って、やめた。

『シャワー…浴びてこよ…』

体を引きずるように、階段を下る。
制服を脱ぎ捨て、浴室にはいる。
『…っ⁈』
鏡を見て驚いた。

鎖骨からわき腹に向かって、落ちたキスマークの跡。
『…なんだよ…これ…』


ストーリーメニュー

TOPTOPへ