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ヌードモデルは『ミス・キャンバス』になれるのか

第2章 佐和子の場合――裸にしただけでは終われない。

最初のサポートは「言い出しっぺ」の佐和子だった。
私と同じ2年生。

佐和子を受け入れたのは系列校の四年制大学のS教授だった。

後悔はしないけど、ミスコンが大騒ぎになって、おおいに反省していると言いながら、
がらんとしたゼミ室で佐和子は服を脱いでいる。

他人の裸を見慣れていないのはヌードモデルといえども同じ。

ショーツまで脱いでる──当たり前じゃないはずの当たり前に呼吸が乱れた。

すぐ始めて、と佐和子は言った。
下着の痕が消えるまでガウンを着て待つのよ、と事前に説明していたが、彼女にはどうでもいいらしい。

ドアをこちら側からノックすると、S教授が入ってきた。

裸の佐和子に軽く会釈し、イーゼルの椅子に座る。

私が「はい、何かポーズして」と言うと、
佐和子は困惑の表情になった。
「ポーズなんてできない。どうすればいいの?」

臆せず裸になったのにそれはないだろう、と一瞬思ったが、一般的に初ヌードとはそんなものかもしれない。

計算なしでは美は完成しない──それは画家とヌードモデルの常識だよね。

日常という次元を超えて、パンツも穿いてない姿にされて佐和子も大変だろうけど、モデルをやる以上はもっと頑張ってもらうしかない。

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