ダブル不倫
第18章 接見
奈々葉たちは警察署の応接室に通された。八畳ほどのその部屋には手前に布張りの三人掛けと二人掛けの長椅子が向かい合わせにあり、それを挟んでテーブルがある。そして、壁にはスローガンが書いてあるポスターが貼られている。
奈々葉と里井は三人掛けの椅子に腰を下ろした。
コンコンと音がして、ドアが開く。黒いアタッシェケースを持った背が高い男が部屋に入って来た。年齢は四十五の里井とさほど変わらないように見える。小さなレンズの奥の目元は無表情だが、八重歯のある口元が人懐こさを感じさせる男だ。
「遅れてすみません」
高級感のあるビジネススーツの襟元に金バッジがキラリと光った。男は里井に手のひらを見せる。
――弁護士さん?
奈々葉は男から名刺を受け取る。
「里井洋法律事務所……?」
「里井って……」
奈々葉は里井に目をやってから洋に目をやる。
「ああ……。弟だ。俺のな……」
「弁護士さんだったんですか。部長の弟さん……」
「……言ってなかったか?」
「言ってませんでした」
「似てませんね。弟さん……」
「よけいなお世話だ」
「兄貴、……坂村美希さんのことだけど……デリケートなことも含んだことだから……」
と、洋が咳払いをひとつしてから言った。
「……ああ、分かってる」
コンコンと応接室のドアが鳴る。
「え……、里井さん、面会できますので、どうぞ」
と、制服の若い女性警官が手招きした。
奈々葉と里井は三人掛けの椅子に腰を下ろした。
コンコンと音がして、ドアが開く。黒いアタッシェケースを持った背が高い男が部屋に入って来た。年齢は四十五の里井とさほど変わらないように見える。小さなレンズの奥の目元は無表情だが、八重歯のある口元が人懐こさを感じさせる男だ。
「遅れてすみません」
高級感のあるビジネススーツの襟元に金バッジがキラリと光った。男は里井に手のひらを見せる。
――弁護士さん?
奈々葉は男から名刺を受け取る。
「里井洋法律事務所……?」
「里井って……」
奈々葉は里井に目をやってから洋に目をやる。
「ああ……。弟だ。俺のな……」
「弁護士さんだったんですか。部長の弟さん……」
「……言ってなかったか?」
「言ってませんでした」
「似てませんね。弟さん……」
「よけいなお世話だ」
「兄貴、……坂村美希さんのことだけど……デリケートなことも含んだことだから……」
と、洋が咳払いをひとつしてから言った。
「……ああ、分かってる」
コンコンと応接室のドアが鳴る。
「え……、里井さん、面会できますので、どうぞ」
と、制服の若い女性警官が手招きした。