ダブル不倫
第20章 エピローグ
奈々葉が手洗いで叫んだ。
「きゃあ、部長、部長お……」
「奈々葉、こんな朝っぱらに……」
里井が目を擦りながら言った。
「ほら、検査薬。妊娠の検査薬の窓に……」
里井が細長いスティックを覗き込んだ。指先ほどの丸窓に赤い縦線が滲むように浮いていた。
「陽性だよ。つまり妊娠の可能性があるって……。生理(アレ)が来ないから、調べたら」
「俺たちの子どもか。やったあ」
:
:
「なあ、奈々葉。渡すか、どうか考えたんだけど……」
里井が奈々葉の左手を取り、小さな指輪を薬指にはめてくれた。
「何よ、ビックリするじゃない。ったく、空気読めねえやつだな」
薬指の指輪は滲んでいた。
fin..
「きゃあ、部長、部長お……」
「奈々葉、こんな朝っぱらに……」
里井が目を擦りながら言った。
「ほら、検査薬。妊娠の検査薬の窓に……」
里井が細長いスティックを覗き込んだ。指先ほどの丸窓に赤い縦線が滲むように浮いていた。
「陽性だよ。つまり妊娠の可能性があるって……。生理(アレ)が来ないから、調べたら」
「俺たちの子どもか。やったあ」
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「なあ、奈々葉。渡すか、どうか考えたんだけど……」
里井が奈々葉の左手を取り、小さな指輪を薬指にはめてくれた。
「何よ、ビックリするじゃない。ったく、空気読めねえやつだな」
薬指の指輪は滲んでいた。
fin..