テキストサイズ

ダブル不倫

第4章 アノ日の翌日

「俺さあ……」
 
 里井の大きな声が聞こえた。正面のターミナル駅の西口が見えるガラス窓の側に数名の男たちが集まっている。里井の機嫌を取るいわゆるコバンザメだ。彼らの中心に里井の姿があった。 
 
 里井の頬と口元が気になった。無意識に里井の薄い唇を追う。昨夜の出来事と寝室でのキスが頭をよぎり、心臓が速くなった。
 
「居酒屋で飲んでたんだけどさあ……」
 
 ふう……。
 
 奈々葉は大きく深呼吸をした。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ