ダブル不倫
第15章 不思議な女性
奈々葉は落ちる。
暗い底のない闇の中に……。
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すっと目が開いた。
奈々葉の腰の高さにある大きな窓の外を覗いた。月の碧い光が明かりが静まり返った街をぼんやりと寂しげに照らしている。
――ここから落ちたら……。
窓に手をかける。サッシではなく木枠のその窓は建て付けが悪いのかガタガタと音を立てるだけだ。
『ダメ、ダメ……イタイヨ。オチルト、イタイヨ?』
透き通るような幼い少女の声が奈々葉に語りかける。同時に、詠美の娘の物だという借りたパジャマの裾が引かれたような気がして振り返った。
『ああ…………あん……信也の……のが挿ってるぅ』
と、いう美希の悩ましい声。
暗闇の公園で膝を抱えている奈々葉自身の姿……。
ふと、太い梁の見える高い天井が目に入った。
窓の方に寝返りを打つ。
ふう……。
涙が頬を滑る。
――ああ……もうこのまま朝が来なければいいのに……。
暗い底のない闇の中に……。
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すっと目が開いた。
奈々葉の腰の高さにある大きな窓の外を覗いた。月の碧い光が明かりが静まり返った街をぼんやりと寂しげに照らしている。
――ここから落ちたら……。
窓に手をかける。サッシではなく木枠のその窓は建て付けが悪いのかガタガタと音を立てるだけだ。
『ダメ、ダメ……イタイヨ。オチルト、イタイヨ?』
透き通るような幼い少女の声が奈々葉に語りかける。同時に、詠美の娘の物だという借りたパジャマの裾が引かれたような気がして振り返った。
『ああ…………あん……信也の……のが挿ってるぅ』
と、いう美希の悩ましい声。
暗闇の公園で膝を抱えている奈々葉自身の姿……。
ふと、太い梁の見える高い天井が目に入った。
窓の方に寝返りを打つ。
ふう……。
涙が頬を滑る。
――ああ……もうこのまま朝が来なければいいのに……。