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ある日のセックス

第2章 花びらのような

 あらわになった贅肉のない下腹。そこの柔らかそうな茂みはタマゴ型にカットされていて、その下はツルツルに手入れされている。
 
 お尻まで伸びた一筆書き。その筋の縁取りは赤みかかった薄いピンク色で、蜂蜜を塗りつけたようにテラテラと妖しく輝いていた。
 
 発情した猫のような彼女の目が、俺を誘う。
 
 彼女はペロリと自分の指を口に含み、自分のそこにあてがった。テロンと水飴が絡んだ指が自分を∨の字に開く。
 
 ニチャ……。
 
 ゴム人形のように口を開いた薄いピンクのそこが、殻を剥いた貝の身のように中を覗かせる。滞っていた透明な雫がツウと滑る。一番下の合わせ目に溜まった雫が決壊し、ゆっくり赤い菊の花の方へ滴を溢した。涙のように銀色の筋を残しながら。
 
 複雑に絡んだピンク色の花びらが、ウネウネと何かを探すように蠢く。彼女の指がそこをなぞる。彼女の指先ほどもない小さな芽と戯れる。
 
 ぽってりした赤いルージュから白い前歯が覗いて、熱い吐息が漏れる。彼女は曲げた指をそっと自分に突き立てる。
 
 プチュッ、という小さな音。
 
 んんっ、と喉からの声を絞り出す。
 
 俺は顔を近づけた蜜を吐く。彼女のそこに。
 
 彼女の指が艶めかしく自分の身体をかき混ぜる。指に絡んだ花びらがウネウネと蠢く。いっぱいになった透明な蜜が泡立ち、指がそれを絡め取る。
 
 赤いマニュキュアの指先が小さな芽を摘まむ。ぽってりした唇が泣くような声を上げる。
 
 彼女のつま先がキュンと反る。グイっと腰が上がって、ドサリとベッドを揺らした。
 
 彼女のふくらはぎが僕の頭を包む。蜜にまみれた彼女に近づいた。俺を誘う彼女の匂い。彼女の縁に沿って唇を這わせる。そして、唇のようにそこにキスし、テラテラに蜜を吸った花びらに舌を絡める。
 
 彼女の苦しげで悦びを含んだ声を聞きながら、彼女の指があった窮屈な洞窟に舌を差し入れる。舌がキュンキュンと締めつけられる。俺の鼻先が彼女の小さな芽の上で滑る。
 
 彼女の手のひらが俺の髪を撫でる。引き寄せるように。
 
 小さな芽を前歯で甘く噛む。
 
 ぴくんぴくんと彼女が跳ねた。苦しそうで嬉しそうな声を漏らして。
 
 ―fin― 

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