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歪ーいびつー

第17章 朱莉 2




「うん……ずっとしまってたんだけどね、久しぶりに付けてみたの」

そう言って切なそうな顔をしてブレスレットを見つめる夢。
何だろう……この貝殻どこかで見た気がする。
……あっ!

「ねぇ、夢。それってお揃いなんじゃない? 」

私は冷やかすつもりで、ニッコリと笑って尋ねてみた。

「うん……涼くんとね、お揃いなんだ。あのキャンプの日に作って涼くんにあげたの」
「……え? 涼……と? 」

ニコリと微笑んで頷く夢に、私は見間違いかと思って口を開く。

「夢、ちょっと見せて」

そう言って夢の手首を持ち上げると、そこにぶら下がった貝殻を見てみる。
それはやはり見間違いなどではなく……私が見たものと同じに見える。
何で涼のものを……? 涼から貰った?
でも……夢から貰ったものを涼が人にあげるとは思えない。

「ねぇ、夢。涼にあげたのっていつ? 」
「キャンプファイヤーが終わる頃だよ」

それはつまり、涼が死ぬ直前で……涼以外の人間が持っているなんてあり得ない……。

「……あっ! 楓くんが来たよ」

夢の視線を辿ると、花束を持った楓が笑顔でこちらに近付いてくる姿があった。

「お待たせ。ごめんね、暑い中待たせてちゃって」
「大丈夫だよ。楓くんこそ、お花買いに行ってくれてありがとう」

夢と楓のそんなやり取りが聞こえてくる。

楓が屋上に花束を置くと、私達は静かに手を合わせた。でも、私の心臓はドクドクと鳴り響き、正直それどころではなかった。
夢の話と自分が見たものを一つずつ思い返してみる……。

「三人になっちゃったね……」
「そうだね……」

そう言って立ち上がった夢と楓。
私は震える脚に力を入れて立ち上がると、左隣にいる夢に視線を移した。涙を流しながら、以前皆で付けた鈴を見つめている夢。
その更に奥にいる楓に視線を移してみると、片手で顔を覆って俯いていた。泣いて……る……?
私はそんな楓をジッと見つめながら、あの日見た事を思い出していたーー。





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