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歪ーいびつー

第7章 ー5月ー



「やっぱり噂は本当なの? 奏多くんと付き合い出したって」
「えっ……あ……」

ニッコリ笑って尋ねる由紀ちゃんに、返答に困った私はその場で狼狽える。

「ーー本当だよ」

背後から聞こえてきた声に振り返ると、上履きに履き替え終わった奏多くんが優しく微笑んで立っていた。
こんなにハッキリと肯定する奏多くんを見たのは初めてで、私はとても驚いた。
奏多くん……私達付き合ってなんていないのにどうして……。

「やっぱりそうなんだ! 二人とも凄くお似合いだよ! じゃあ……私はお邪魔だろうから先に行くね」

「夢ちゃんまた後でね」と手を振って去って行く由紀ちゃん。

「これで皆に知れ渡るだろうね」

そう言って微笑む奏多くんを見て、私はとても戸惑った。
奏多くんが何を考えているのかわからない。
平気で由紀ちゃんに嘘をついた奏多くん。
表情こそ笑顔でいるけれど、私は再び奏多くんを怖いと感じ始める。
それでも、私は臆病者だから……奏多くんに何も言えなかった。


ーーーーーー


翌日から、私への嫌がらせが酷くなっていった。
奏多くんが交際を肯定し始めた事で、あっという間に噂は広がり、奏多くんファンが激怒したのだろう。

教科書がズタズタに切り裂かれたり悪口を書かれたり、筆箱が無くなったり……毎日のように何かしらされた。
それでも私は誰にも相談する事ができずに、一人隠れて涙を流してはただ黙って耐えるしかなかった。   

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