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歪ーいびつー

第10章 楓

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足元をずっと眺めたまま川に佇む夢ちゃん。
……何してるんだろ? ……可愛いなぁ。
そう思うとクスリと笑った。

ーー俺は、初めて出会った日からずっと夢ちゃんの事が好きだった。
親の離婚がキッカケで、小学四年の時に転校してきた俺。そこで、初めて自分よりも可愛い女の子に出会った。
色素の薄い髪に真っ白な肌。
垂れ目がちの大きな瞳に小さな口と整った鼻。それはまるで、精巧に作られたピスクドールのようだった。
俺は一目で夢ちゃんの虜になった。だけど、夢ちゃんの隣には既に涼がいたんだーー。

目の前にいる夢ちゃんが、突然ワンピースを捲り上げるとその場にしゃがみ込んだ。
川の中に手を入れた夢ちゃんは、何やら一生懸命にその手を動かしている。
……ホント可愛い。

夢ちゃんを眺めてクスリと笑い声を漏らした俺は、そろそろ自分も川へ入ろうと靴を脱ぎ始めた。
準備が終わってふと目の前を見ると、綺麗な貝殻が視界に入る。
俺はその貝殻へ近付くと、川の中に手を入れて掴みあげた。
夢ちゃんにあげたら喜ぶかな……。そう思って夢ちゃんに視線を移すと、さっきまで目の前にいたはずの夢ちゃんの姿がない。

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