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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第3章 君はやっぱり変でした



隣でニコニコと嬉しそうにお弁当を食べるひぃくん。
私はそんなひぃくんに向けて口を開いた。

「ひぃくん、さっきのあれ……何?」

メソメソと泣くひぃくんに連れられ屋上へとやってきた私。
すっかりとご機嫌になったひぃくんに対し、私は未だにさっきの事を引きずっていた。

怨めしい気持ちでひぃくんを見つめる。
あの時私がどんなに恥ずかしかったか……。

「え?だって……花音がスパに行こうとしてたから……」

スパに行くのとさっきの発言に何の関係があるのか……
私にはサッパリわからない。
ひぃくんの思考を読み取るのは一生無理かも。

「それとあの発言に何の関係があるの?」

小さく溜息を吐くと、呆れながらひぃくんを見る。

「忘れちゃったの花音?! 俺に初めてを捧げてくれたのに……っ!」

ひぃくんの言葉に、お兄ちゃんの眉がピクリと動く。
そしてゆっくりと視線を動かして私を捉えた。

えっ……。
お、お兄ちゃん……私を見ないで。
私だって意味がわからないんだから……。

思わず顔が引きつる。

「花音! ……っ花音の公園デビューは俺に捧げてくれたでしょ?! 忘れちゃったの?!」

私の肩をガッチリと掴んでユサユサと揺らすひぃくん。

あぁ……もう嫌だ……。
何て紛らわしい言い方をするんだろう……この人は。
初めからそう言ってくれればいいのに。

私の身体を揺らすひぃくんを見ると、泣きそうな顔をして私を見つめていた。

だから泣きたいのは私だよ、ひぃくん……。

ひぃくんの言葉であらぬ誤解を受けたであろう私。
何で普通に話せないんだろう。
やっぱりひぃくんはちょっと変。

ガクガクと揺れる頭でそんな事を考える。

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