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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第18章 ★君はやっぱり大切な人



ハァハァと息を荒げながら、私に腰を押し付ける男の人。

何をされているのかよくわからない私は、ただただ恐怖に震えた。
胸の前でギュッとかばんを抱きしめ、ただ黙って身体を縮こませる。

怖いっ……怖いよ……。

気付けばパタポタと涙が流れていた。

「「花音っ!!!」」

聞こえてきた声に視線を上げると、お兄ちゃんとひぃくんが焦った顔をして走ってくる姿が見える。

「……っ……」

涙で視界がぼやけた時、ひぃくんが男の人を掴んで私から引き離すと、そのまま男の人を殴り飛ばした。

地面に転がる男の人。
それをお兄ちゃんが押さえつける。

「花音っ! 大丈夫?!」

クルッと私の方へ振り向いたひぃくんが、焦った顔をして私を見る。

相変わらず声が出せない私は、ギュッと鞄を抱きしめたままポロポロと涙を流した。
そんな私を見て、悲しそうな顔をしたひぃくん。
ゆっくりと私に近付くと、ひぃくんは私を優しく抱きしめた。

「怖かったね、よしよし。もう大丈夫だよ」

そう言って優しく私の頭を撫でてくれる。
私は堪らず、ひぃくんに抱きつくと大声を上げて泣いた。

「こわっがっ……だよぉ……っ」

鼻水を垂らして泣く私を、ひぃくんはずっと優しく抱きしめてくれた。

「うん、怖かったね。もう大丈夫、大丈夫だよ」

私を安心させるように、優しく頭を撫でながら何度も大丈夫だと言ってくれるひぃくん。

ひぃくん……ひぃくん……。
ごめんなさい……
無視してごめんなさい……。

ひぃくんはいつだって優しい。
私が無視していたって、こうして助けに来てくれる。

どんなに振り回されたって、ひぃくんを嫌いになんてなれない。

ちょっぴり変なひぃくん。
だけど私にとっては大切な人。

ひぃくんは……
昔から私の大切な人なんだーー。






ー完ー









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