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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第19章 ★君とハロウィンパーティー



「ねぇ、お兄ちゃん。今週末うちでハロウィンパーティしてもいい?」

台所で皿洗いのお手伝いをしながら、お兄ちゃんの様子をチラリと伺う。

「……誰が来るの?」
「え、えっとね……彩奈と斗真くん達。ひぃくんも来るから、お兄ちゃんも参加してね?」

ひぃくんと付き合っているとはまだ言えていない私。

無言のお兄ちゃんに、何か不自然だっただろうかと内心焦る。

「……お、お兄ちゃん?」

お兄ちゃんの顔を覗き込むと、小さく溜息を吐いたお兄ちゃんは、ジロリと私を見て口を開いた。

「俺は絶対に仮装しないからな」
「えー?! だってハロウィンだよ?! ヤダヤダー! 仮装してよーお兄ちゃん!」
「だったらパーティは無し」
「……すみません、お兄様。普段着で充分です」

仕方なく納得した私は、口を尖らせながらお皿洗いをする。

……すぐ鬼には変身するくせに。
いいじゃん、仮装くらい。
鬼の仮装すればピッタリなのに。

心の中でそんな悪態を吐く。

「花音、もういいよ。テレビでも見てきな」

不貞腐れている私にそう声を掛けるお兄ちゃん。

チラリと見ると、とても優しく微笑んでいる。

「手伝いありがとな」
「……うん」

ほとんどの家事を全部一人でこなしているお兄ちゃん。

私なんて全然お手伝いしてないのに……。
いつもこうやって私を気遣ってくれる。
なんだかんだ優しいお兄ちゃん。

鬼なんて言ってごめんなさい。

「お兄ちゃん、いつもありがとう。大好きだからね」

そう伝えると、恥ずかしくなった私はさっさとリビングへ逃げる。

一人でソファに座ってテレビを見ていると、暫くして食器洗いを終えたお兄ちゃんが私の隣に来た。

「ん。少し寒いだろ」

差し出されたマグカップを受け取ると、フワリとホットココアの甘い香りがする。

「……お兄ちゃん、大好き」

お兄ちゃんの肩に頭をもたげると、クスッと笑うお兄ちゃん。

「甘えんぼだな」

そう言ってポンポンと頭を撫でてくれる。

やっぱりお父さんとお母さんが居ないのは寂しい。
時々会いたすぎて涙が出そうになったりもする。

でもね、お兄ちゃんがいるから私は大丈夫。

マグカップに注がれたココアを一口飲むと、私はニッコリと微笑んだーー。


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