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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第1章 私の幼なじみはちょっと変



「花音、窓の鍵はちゃんと閉めとけって言ってるだろ」
「だって……」

チラリと私を見て言うお兄ちゃんに、私は反論しようと一度開いた口を閉じた。

鍵を閉めていると、開けるまでひぃくんが窓を叩くから煩《うるさ》いのだ。

お隣に住むひぃくんは小さい頃からの幼なじみで、昔からよく窓をつたって私のベッドへ潜り込んできた。

流石にもう高校生だし辞めて頂きたい。
私だってそう思う。


中学生の頃、思春期真っ只中だった私は、ひぃくんがベッドに忍び込んでくるのが嫌でたまらなかった。
だから窓に鍵を掛けた。

夜中に窓の外に現れたひぃくんは「花音あけてー」と言って窓を叩いた。
私はひたすら無視を決め込み、コンコンと叩く煩《うるさ》い音に耳を塞いだ。

暫くしても、ひぃくんは諦めようとせずにずっと叩いていた。

もういい加減諦めてよ……。
布団を頭から被って聞こえないフリをした私は、気付いたらそのまま熟睡していた。

翌朝目が覚めた私は、カーテンを開けて驚いた。
窓の外にひぃくんが蹲《うずくま》っていたのだ。

真冬だというのに、まさかずっと外にいたのだろうか……。
急いで窓を開けた私は、恐る恐る口を開いた。

「ひ……ひぃくん?」

私の声にピクリと肩を揺らしたひぃくんが、ゆっくりと顔を上げる。

「花音……おはよー」

鼻水を垂らしながらフニャっと笑ったひぃくん。
その日、ひぃくんは40度の熱を出した。

私より二つ年上のひぃくん。
正直、なんてバカなんだろうと思った。

それ以来、私は窓の鍵を必ず開けるようにした。

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